2008年12月16日

たんすの中から4話

 おいしいね。
 笑う。

 ねー。
 笑う。

 ミーが作ったのは味噌汁だった。山の幸をぶつ切りにして、油揚げもぶつ切りにして作った具沢山の味噌汁。器用なものである。

 作ってる途中でね。うふふ。油揚げ半分つまんじゃったの。
 笑う。

 ねー。
 笑う。

 ところで・・・
 まつたけは切り出す。

 これから俺はどうなるんだ?

 考え込むミー。

 沈黙

 ミーはかぶりを振り、決心したように喉を鳴らした。
 これからあなたは、組織の人間に一日一回、1時間ほど検査を受けることになるわ。そして、これまでのケースだと長くて3ヶ月、短くて10日、組織の人間はこう言うわ、「また、違った」と。最後の姿も、そしてその後の姿も、私は見せてもらってないの。でもね、これまでの茸たちはどれも表情を作ることができなかった、笑えなかった。言葉を話せない茸もいた。今回は・・・今回こそは・・・

 まぁまぁまぁ・・・
 二の句が継げない。




 これからのことは分からない。とまつたけは思う。しかし、俺の人生いつもそうではなかったか。一寸先は闇。どうやらたんす以前の記憶は消されているようだ。さながら人生新参組といったところか。これから、謎の宗教団体に解剖でもされるのだろうか、おいしく召し上がられてしまうのだろうか、しかし、目の前のリスクを心配しすぎるがあまり、たんすに篭っていてはこれまでと同じではないか。珍しくまつたけは前向きだった。ミーがこっそり入れたワライタケだけのせいではあるまい。

 ミー、俺、真剣に考えたんだ。
 まっすぐにミーを見つめるとまつたけは声を落として話しかけた。

 きもっ。
 ミーのつぶやきは幸い、興奮して目を真っ赤にしているまつたけの耳には届かない。

 ここで、ミーと一緒に・・・
 そこまで言いかけたとき、重さ数トンはあろうかという巨大な扉を、見たこともないような重機が押し開け乗り込んできた。

 とうとう見つけたぞ!
 重機の中の男は叫ぶ。

 宇宙銀河広しといえどこの名を聞いて恐れぬものはなし・・・今ここにmeけんざん!!!!!!111
 言うが早いが、謎の男は輪ゴムテッポウでミーの急所を打ち抜いた。

 ミー!!!!!11

 なお高いテンション、下がらないボルテージ。この男は自己紹介を始めた。

 我が名はセミコロン教授、マギー研究所の悪事について長年研究をしてきた。昨晩、君を引きずるマギー研究所のメンバーと思しきミーを発見し、meはそのあとをつけた。普段はまかれてしまうのだが、此度は君を引きずった後が血みどろになっていたために、明け方の捜索でこの場所を特定したというわけだ。誘拐の現行犯と、そして正当防衛の名義で今、ミーを射殺させてもらった。もう安心だから、世界に平和が戻ったから、youも安心して、今晩はうちに泊まりなさい。
 満足げにまくし立てる。

 どうしてこうなった・・・
 憤るまつたけ。

 と、一部始終を見ていた白衣の男。一目散にトイレに駆け込むとそこで、吐いた。


posted by Setsuna at 09:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 変体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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