2008年12月16日

万物の霊長

 本日は世界で一番成功している生物について熱く語りたいと思います。思えば人間も、地球のダイナミズムに関して多大なる影響を及ぼしているのは、近年の環境対策のような世界的な流れに象徴されるものですが、このたび紹介する生物はなにせ世界一でありますから、そのダイナミズムたるや、筆舌に尽くしがたい。しかし、少しでもこの熱気が読者諸君に伝われば幸いである。

 さて、その生物は食物連鎖のトップというわけではなく、それどころか、体長は最大で6cmほどであると見積もられている。ここまでいって、諸君らが想像する生物、その生物が地球でもっとも成功した生物だろうと、多くの人が見当をつけるその生物もまた、見当違いであると宣言しておく。今回紹介する生物は意外にも聞いたことがない人がほとんどであると思う。生息域も狭くはないが、地球で一番にはふさわしくないほどつつましいものとなっている。

 その生物の名は「ナンキョクオキアミ」だ。諸君らはバイオマスという指標をご存知だろうか?個体数*質量の値のことをバイオマスという。実はこのナンキョクオキアミは、バイオマスが地球で一番でかい。ということで今回、世界一の生物と呼ぶことにする。

 ナンキョクオキアミは、オキアミ目に属する動物で、南極海周辺にのみ分布する。標識再補技術(ある固体にマーキングして、その固体の移動範囲を調べる技術)が、ナンキョクオキアミが小さいために確立されておらず、移動パターンはまだまだ判明していない。

 ナンキョクオキアミは13-20日ごとに外骨格を脱ぎ捨て脱皮する。一般に脱皮というと成長するときというイメージがあるが、なんとこのナンキョクオキアミは、エサが少ないときには脱皮して小さくなることができる。もうこの辺ですでに熱い。なんという洗練されたDNAであろうか。ちなみに目のみは脱皮をしても小さくならないために、年齢はこの目のサイズを調べることで知ることができる。

 ナンキョクオキアミの食べ物は植物プランクトンである。この植物プランクトン、同じサイズの高等生物は利用することができない。通常であれば動物プランクトンなどが摂食し、徐々に食物連鎖を上り詰めてこのサイズの目に留まる。しかしこのナンキョクオキアミは食べることができるのである。後に詳しく説明するが、南極海にはこの植物プランクトンのパラダイス的な環境が広がっており、ナンキョクオキアミが地上最大のバイオマスを形成する理由は、彼らが植物プランクトンを直接に食するという進化を遂げたためである。
 食物連鎖の話で言えば、このナンキョクオキアミを捕食するのは、魚やイカといったサイズのものから、アザラシ、そして鯨にいたるまで実に多様だ。このサイズから鯨という巨大なサイズに一気に食物連鎖がジャンプするのも、ナンキョクオキアミが膨大なバイオマスを形成しているためだ。膨大な植物プランクトン、それによる膨大なナンキョクオキアミ、そして鯨。このような食物連鎖のジャンプがこの海域で確認できるという点でも、神秘的な熱さを感じざるを得ない。
 経済的なはなしに置き換えれば、いわゆるロングテールの話しと同様であって、膨大な個々の塊を束ねてしまえば、直接その上に大きなビジネスが直結するというまさにそのものが、生物界においては太古より行われてきたわけなのである。

 wikipediaから引用する。「全世界の水産資源のうち、魚類、貝類、甲殻類、頭足類、プランクトンなどの合計量は、年間約1億トンであるのに対し、ナンキョクオキアミ単独の年間生産量は1億3000万トンから数億トンと見積もられている。」この圧倒的なバイオマスを想像することができるだろうか。

 さて、話は植物プランクトンへと移る。実はこの南極海は、太陽エネルギーが生物のバイオマスに変換される率(光合成が行われている密度)が、地球上でトップクラスに高い。他にはアマゾンの流域など、栄養の豊富な地域が上げられるが、南極海のすごいところはその面積で、他の地域と比較にならないほど広大となっている。なぜ何もない南極海で、熱帯雨林と同程度の生産性があるのかといえば、南極大陸の沿岸で深海域から沸きあがる海流は、世界中の海を渡って南極海へたどり着いたもので、しかも深海であるため豊富な栄養塩を含んだまま、南極海まで運ばれている。いうなれば地球という池の、池さらいをした栄養素が南極海に集まっているということだ。(池さらいをした泥は、栄養が豊富なため堆肥として用いられる)このダイナミズムは熱い。
 この栄養豊富な水と、氷、長い日照時間が植物プランクトンのパラダイスを築いている。



 ここからは仮説に移ることにする。
 膨大なバイオマスで、植物プランクトンを食料としているが、我々が糞尿をするのと同じく、このナンキョクオキアミも食べかすを巻き散らかす。それは植物プランクトンによって作られた炭素などであるが、炭素は重く、糞として出された後海中へと沈んでいく。ナンキョクオキアミの個体数からみて膨大な炭素を南極海へ沈めているはずだ。この膨大な炭素は海底につもり、やがて海の圧力によって海底深くのさらに奥、地底へとしみこむことになるのではないかと思う。そう、ナンキョクオキアミの長い長い年月をかけた活動により、石炭、そして石油が作られているというわけだ。


posted by Setsuna at 18:42| Comment(43) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

たんすの中から4話

 おいしいね。
 笑う。

 ねー。
 笑う。

 ミーが作ったのは味噌汁だった。山の幸をぶつ切りにして、油揚げもぶつ切りにして作った具沢山の味噌汁。器用なものである。

 作ってる途中でね。うふふ。油揚げ半分つまんじゃったの。
 笑う。

 ねー。
 笑う。

 ところで・・・
 まつたけは切り出す。

 これから俺はどうなるんだ?

 考え込むミー。

 沈黙

 ミーはかぶりを振り、決心したように喉を鳴らした。
 これからあなたは、組織の人間に一日一回、1時間ほど検査を受けることになるわ。そして、これまでのケースだと長くて3ヶ月、短くて10日、組織の人間はこう言うわ、「また、違った」と。最後の姿も、そしてその後の姿も、私は見せてもらってないの。でもね、これまでの茸たちはどれも表情を作ることができなかった、笑えなかった。言葉を話せない茸もいた。今回は・・・今回こそは・・・

 まぁまぁまぁ・・・
 二の句が継げない。




 これからのことは分からない。とまつたけは思う。しかし、俺の人生いつもそうではなかったか。一寸先は闇。どうやらたんす以前の記憶は消されているようだ。さながら人生新参組といったところか。これから、謎の宗教団体に解剖でもされるのだろうか、おいしく召し上がられてしまうのだろうか、しかし、目の前のリスクを心配しすぎるがあまり、たんすに篭っていてはこれまでと同じではないか。珍しくまつたけは前向きだった。ミーがこっそり入れたワライタケだけのせいではあるまい。

 ミー、俺、真剣に考えたんだ。
 まっすぐにミーを見つめるとまつたけは声を落として話しかけた。

 きもっ。
 ミーのつぶやきは幸い、興奮して目を真っ赤にしているまつたけの耳には届かない。

 ここで、ミーと一緒に・・・
 そこまで言いかけたとき、重さ数トンはあろうかという巨大な扉を、見たこともないような重機が押し開け乗り込んできた。

 とうとう見つけたぞ!
 重機の中の男は叫ぶ。

 宇宙銀河広しといえどこの名を聞いて恐れぬものはなし・・・今ここにmeけんざん!!!!!!111
 言うが早いが、謎の男は輪ゴムテッポウでミーの急所を打ち抜いた。

 ミー!!!!!11

 なお高いテンション、下がらないボルテージ。この男は自己紹介を始めた。

 我が名はセミコロン教授、マギー研究所の悪事について長年研究をしてきた。昨晩、君を引きずるマギー研究所のメンバーと思しきミーを発見し、meはそのあとをつけた。普段はまかれてしまうのだが、此度は君を引きずった後が血みどろになっていたために、明け方の捜索でこの場所を特定したというわけだ。誘拐の現行犯と、そして正当防衛の名義で今、ミーを射殺させてもらった。もう安心だから、世界に平和が戻ったから、youも安心して、今晩はうちに泊まりなさい。
 満足げにまくし立てる。

 どうしてこうなった・・・
 憤るまつたけ。

 と、一部始終を見ていた白衣の男。一目散にトイレに駆け込むとそこで、吐いた。
posted by Setsuna at 09:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 変体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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