2008年12月12日

たんすの中から2話

まつたけは考えた、俺はどこにいくのだろう。
そう、彼は生きていたのだ。猫に引きずられながら・・・

 ここで猫について説明しなければなるまい。水分が抜けたとはいえ10キロのまつたけを持つ猫。仮の名をミーとしておく。ミーは老猫で、この界隈では有名なネズミ捕りの名人である。名前はまだない。何歳なのかは分かっていないが、町の生き字引のいうところによると30年前、終戦直後のこの町に来たのが最初だという。ヴィジュアルは当時からまったく変わっていないらしい。体重は軽く30キロはあり、身長は小学生の高学年ほどもある。ミーはねずみの巣食う家を見つけると突進し、その家のねずみをあらかた退治するということで、近所ではありがたがられている。あまりにもねずみが多い場合は、ミーの猛攻によって家は倒壊するが、そういうボロ屋がこわれるということで、これもまた近所の町の金持ち連中からは好かれる理由となっている。
 殺鼠剤入りの毒饅頭を主食とするミーは、ラスプーチンではないかと噂されるが、外見はどう見ても猫のため、この説を唱えたセミコロン教授は近所ではヤバイやつだと思われている。

 さて、この猫はまつたけを咥えると、さすがに今までのまつたけよりは重いなあと思いつつ、なるべく顎が疲れないように運んだ。したがって、粗いアスファルトによってまつたけはみるみるうちに削れてしまった。
 3割ほど削れたところでまつたけは「痛い」と思った。人間らしい感情が戻ったのだろう、途端にあたりが明るくなった。そう、なくなっていた目が、厚い脂肪がこそげ落ちたことによって復活したのだ。右目があった位置はやや削れ方がひどく、目らしいものは見当たらなかったが、当の本人はまったく気づいていない様子だった。それぐらい衝撃的な映像が広がっていたのだ。

 なんぞこれ・・・
 まつたけはつぶやく。

 ここはマギー研究所。
 ミーは答える。

 やめーやwwww
 まつたけは久しぶりに笑った。

 ここから二人の共同生活が始まるんだなあという、暖かな気持ちに包まれたところで、太陽がゆっくりと地平線から昇り始めた。


posted by Setsuna at 07:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 変体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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